3月号(2019年)


一般入試終わる

 2月12日から22日までの10日間、早稲田キャンパスを中心に本学各学部の一般入試が行われた。入試進行における試験時間の遅れなどのトラブルについての情報は、5日時点で公表されていない。全学部の総志願者数は11万8338人で、5415人の一般入試募集人数に対して20・6倍となった。

 2019年度の志願者数は前年から5871人減少した。最も減少者数が多かったのが教育学部で2619人、続いて社会科学部が2041人となった。両学部の前年度志願者数は一昨年度よりも500人程度増加していたこともあり、上げどまりになった格好。また、志願者数の伸びが大きかったのは法学部で前年比583人の増加だった。

 各学部の合格者数は1日現在で公表されていないが、前年度は一昨年度に比べて1873人減少していた。合格者数減少の傾向は今年も続いていると推測される。 志願者数の減少については、文部科学省が地方から首都圏への人材流出を抑制するために導入した「大学の定員厳格化」の方針を各大学が導入したことによって、受験者がより「狭き門」となった本学を避けたため、との見方がある。



出題ミス相次ぐ

 各学部の試験終了後、早稲田大学の学部ホームページにおいて出題ミスが7学部で16題あったことが明らかになった。

 各学部発表によると、政治経済学部で国語が2問、日本史で2問の出題ミスを筆頭に、社会科学部の世界史で1問、法学部の政治経済で1問、教育学部の世界史で2問、政治経済で1問、文化構想学部の世界史で1問、商学部の日本史で2問、人間科学部の物理で1問、世界史で2問、政治経済で1問の出題ミスが確認されたという。出題ミスは世界史で6問、日本史で4問、政治経済で3問と社会科目に集中していた。

 各学部は出題ミスの問題に関しては全員に得点を与えるとしている。



【論説】出題ミスの問題点

 今年もあまりにずさんな出題ミスが多数大学当局側から発表された。

 2月20日に行われた政治経済学部の日本史の試験では2問が解答が存在しない設問になっていた。大問ⅢA2では、「小御所会議で(え)が発せられると、官職と領地返上命令をめぐる徳川家内部の反発を抑えられず、挑発にのって朝敵になってしまうんだ。」という文章の(え)に当てはまる語句が選択肢になかった。選択肢のチ、「王政復古の大号令」を入れる

ことを意図した問題だと推測されるが、王政復古の大号令は小御所会議の前に公にされたものであり、解答として不適切だ。小御所会議において将軍徳川慶喜に要求されたのは将軍職と江戸幕府の領地を天皇に返還する「辞官納地」であるが、空欄の直後に「官職と領地返上命令」とあり、ここに「辞官納地」を入れることが明白に過ぎる。

 また、大問ⅤA4、日韓併合条約に関する問題では、「記述として誤っているのはどれか」という問題にも関わらず選択肢に歴史的に誤りだといえるものがなかった。

 このような間違いは、少し日本史の参考書を調べればすぐにわかることだ。それを確認することもせず出題してしまったことは批判に値するだろう。また、解答が存在しない問題に戸惑い、狼狽してしまって普段の実力を出せなかった受験生もいるかもしれない。出題ミスは受験生に対する「裏切り行為」である。

 大学受験は人生において大変なターニングポイントだ。一つの些細な設問ミスが人生を変えてしまうことだってありうる。

 出題者は日本史の研究者、あるいは学者であるはずだ。高校レベルの問題を出題するのに、間違ってしまっては面目が立たないだろう。この程度の知識問題で間違いを犯すなど、研究者や専門家であるならばあってはならないことだ。在学生にとっても、教授陣に対する信用が損なわれる。高校レベルの問題で間違える教授を「師」として仰げるだろうか。

 このような出題ミスは「早稲田」を信用して試験を受けた受験生に対する裏切り行為であるのみならず、学生にとって信用を教授に持てるかという問題にもかかわってくる。問題作成者は「早稲田大学」という看板を背負っていることを自覚し、適切な設問作成と慎重な確認作業が求められている。

      (伊東圭介)



アリーナ完成間近

 昨年12月10日、戸山キャンパスの「早稲田アリーナ」の建設工事が終了した。これは老朽化した旧記念公会堂を取り壊し、跡地に地下2階、地上4階建てからなる早稲田アリーナを建設するもので、15年8月から工事が続けられていた。建物の大半は地下にあり、アリーナ上部に「戸山の丘」と命名された庭園が整備されている。2階交流テラス部分はすでに併用が始まっており、その他大部分は新学期から利用が可能になるとみられる。

 地下1階と2階には、各種スポーツや、入学式、卒業式、早稲田祭などのイベントにも対応できる多機能型メインアリーナを中心に、多目的運動場や拳法場等、スポーツ関連諸室が配置されている。2階には交流テラスやラーニングコモンズなどといった学生が学習に使えることができる施設が誕生し、3階には「早稲田スポーツミュージアム」および競技スポーツセンター関連の施設が配置された。

 また、これまで接続していなかった36号館と学生会館との間に「早稲田アリーナ」を介してそれぞれ連絡通路が設けられ、屋根付きの新しい動線として期待される。

 「早稲田アリーナ」内にはスターバックスが出店する予定。スタバ公式の発表は5日時点でない。大手小売資本の学内進出は、早稲田キャンパスのファミリーマート、セブンイレブンに次いで3例目。

 大学当局は「早稲田アリーナ」を「次世代の早稲田のシンボル」「早稲田らしさと誇りの醸成」などと位置づけ称揚しているが、この施設が学生の多額な学費で建設されていること、工事の過程で諏訪通り沿いにタテカンを設置するフェンスが撤去されたことについて一部学生から批判の声が上がっている。



新歓日程決定

 学生部は1月21日、入学式シーズンの新歓日程を公表した。発表によると、早稲田キャンパスにおける大学公式の新歓期間は4月1日から4日の4日間で、9時から17時(4日は16時)まで。

 各学部の入学式が行われる戸山キャンパス、昨年までの学部入学式会場だった大隈講堂の各周辺での新歓は昨年同様できないという。

 新歓日程については、例年5日間設けられていたが、昨年から1日削減されていた。